どうも、太陽です。
「日本の大企業の凋落」は近年ますます注目されるテーマです。
特に電機産業を中心とした日本の大企業の低迷が顕著であり、これに伴う課題や原因について深掘りすることは、日本経済や未来の働き方を考える上で重要です。
シャープは壊滅し(その後、買収されて復活)、パナソニックも低迷中ですし、東芝も大崩壊です。
唯一、ソニーぐらいが生き残っているという状況です。
今後、「日本の電機産業の大企業はオワコン化するのでは?」というのが僕の見立てです。
その理由を解説しますので、興味がある人は続きをお読みください。
1 日本の大企業の現状と課題
(1) 日本型雇用制度の特徴
かつて日本の大企業は、以下のような雇用システムを基盤として成長してきました。
- 終身雇用:定年まで一つの会社に勤め続ける。
- 年功序列:成果よりも年齢や勤続年数で評価が決まる。
- メンバーシップ型雇用:新卒一括採用で社員を「会社の一員」として育てる。
このシステムでは、社員が様々な部署を経験し、ゼネラリストとしてのスキルを磨いていきました。
しかし、この制度には大きな問題がありました。
- 転職市場での価値が低い「部長ならできます」型人材の量産。
- 社内政治が横行し、変化への対応が遅れる。
(2) 外国企業との違い
一方、外資系企業や海外の大企業は、ジョブ型雇用を採用しています。
- 職務基準:必要なスキルを持つ人材を中途採用し、即戦力として活用。
- スペシャリスト重視:特定分野の専門家を育成。
- 柔軟な人事制度:業績悪化時には人員整理が可能で、転職市場が整備されているため、クビになっても他社で活躍できる。
この違いが、特にデジタル時代における競争力に大きな影響を及ぼしました。
(3) 日本型雇用制度の限界
「作れば売れる」時代には日本型の制度は機能しましたが、デジタル時代に突入すると状況が一変しました。
- ICT産業への対応の遅れ:製造業に強みを持つ日本企業は、デジタル技術を基盤とした新産業へのシフトが遅れました。
- グローバル競争力の低下:硬直的な制度のため、変化の早い市場に適応できず、世界市場でのシェアを失いました
2 アメリカと中国の成長戦略
(1) アメリカの産業シフト
アメリカは日本の製造業に対抗するのではなく、ICT産業と金融産業に注力しました。
その結果、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)といった企業が誕生し、世界をリードする産業を築きました。
- GAFAの台頭:技術革新と資本力を背景に、ICT分野で独占的地位を確立。
- スタートアップ文化:次々と新しい企業が生まれるエコシステムを形成。
(2) 中国のICT鎖国戦略
中国は国内市場を守るためにアメリカ企業を締め出し、自国企業を成長させました。
その結果、TencentやAlibabaといった巨大企業が誕生しました。
(3) 日本の対応
日本はアメリカ企業に市場を開放し、消費者は「良いもの」を選んだ結果、iPodやiPhone、Facebook、YouTubeなど、海外製品が日本市場を席巻しました。
以下の例が象徴的です。
- ウォークマン vs iPod:日本の代表的な携帯音楽プレーヤーがiPodに敗北。
- ガラケー vs スマホ:日本独自の携帯電話がiPhoneに取って代わられる。
- mixi vs Facebook:SNS分野でも海外勢に圧倒される。
ちなみに、「日本でGAFAが生まれなかった理由」を以下の記事で考察しています。
現在の日本企業の頑張りと課題
(1) 一部の健闘する日本企業
- 音声通話アプリ市場:Z世代に人気の「Yay」や「Gravity」など、日本勢のアプリが注目されています。ただし、Gravityには中国資本が入っていることが判明しています。
- マッチングアプリ市場:Pairsやwithといった日本発のアプリが存在感を示していますが、こちらも外資が関与しています。
- メルカリ:プラットフォーム型ビジネスとしては健闘している数少ない成功例です。
(2) 外資の影響
多くの日本企業が海外資本の影響を受けており、完全な独立性を保ったまま成功している例は少ない状況です。
Googleは、検索エンジンの分野で巧妙なビジネス戦略を展開しています。
検索結果においては、多くのアフィリエイターに質の高いコンテンツをせっせと作らせ、その成果を活用して検索サービスの価値を高めてきました。
さらに、広告枠の運用においては、中小企業をはじめとする広告主から広告料を集め、有料広告を検索結果の上位に優先的に表示する仕組みを導入。
このようにして、検索結果ページを収益化しています。
また、YouTubeではスーパーチャット(スパチャ)機能を通じて、クリエイターと視聴者の間の投げ銭文化を促進。
その一方で、投げ銭の総額から半分近くもの手数料を徴収するという、非常に高い取り分で収益を上げています。
これらの戦略により、Googleは非常に効率的かつ収益性の高いビジネスモデルを築いています。
日本は1995年以降の「デジタル敗戦」を背景に、新たな産業を生み出すことができずにいます。
その原因の一つとして、アメリカに技術基盤をほぼ支配されたことが挙げられます。
オペレーティングシステム(OS)、スマートフォン、プラットフォームといった分野で、日本はアメリカの影響を受け続け、主導権を握ることができませんでした。
GAFAと日本企業の違い
GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)は、いわば「大リーグ」のような実力主義社会です。
この世界には、猛者たちが集い、力で競い合う構図があります。
一方で、日本の大企業は「ぬるま湯」のような環境にあり、ぶら下がり社員が多く残っています。
日本企業は筋肉質な体質を目指して、早期退職金を提供することで、早めに無能なぶら下がり社員に辞めてもらおうとしました。
しかし、このような施策では、有能な社員ほど先に辞めてしまうという問題が起きます。
有能な人材ほど現状のリスクを見抜き、早めに行動するため、結果的に「タイタニック号」から逃げ出す形になるのです。
日本の大企業に根付くKMO問題
現在の日本の大企業には、KMO(権力を持った無能なオッサン)が多数居座っています。
PuANDAさんのツイートを借りると、「40歳以下の優秀な人が、KMOたちにどう対応するか」が重要な課題となっています。
その選択肢は以下の3つに分類されます。
- KMOがいない場所に行く(最も現実的な選択肢)。
ICT業界、ベンチャー企業、外資系企業、起業、フリーランス、医療業界など、KMOがいない環境を求める動きです。 - KMOに気に入られて転がしていく(社内政治のスキルが必要)。
KMOに取り入って、出世を目指す戦略ですが、時間がかかる上、政治的駆け引きが求められます。 - KMOを一掃する(最も難しい選択肢)。
反撃されるリスクが高く、現実的ではありません。ドラマ『半沢直樹』のような展開は、あくまでフィクションの世界です。
優秀な人材が逃げる構図
現在の大企業の環境では、社内政治を乗り越えて出世するには何十年も待つ必要があります。
このような状況に耐えられない優秀な若者たちは、大企業を離れ、以下の道を選びます。
- ICT業界やベンチャー企業への転職。
- 外資系企業への移動。
- 起業やフリーランスとしての独立。
- 医療業界のような専門職への転身。
これらの選択肢は、KMOが支配する大企業を避けるための合理的な行動と言えます。
フリーランスの限界と課題
一方で、フリーランスが社会の多数派になることは現実的ではありません。
たとえば、YouTuberが100万人になった場合、全員が成功して食べていけるわけではありません。
同じように、フリーランスが増えすぎると、市場の飽和状態が起こります。
また、フリーランスの成功はマッチョな精神と努力が必要です。
成果がすべて自分に返ってくる反面、自己投資や継続的な努力を求められる厳しい世界です。
そのため、フリーランスは少数派であるからこそ特権が成り立つと言えます。
韓国の事例と日本企業への示唆
韓国の大企業、例えばサムスンやLG電子は、日本企業に比べて筋肉質な体質を持っています。
しかし、その実態は少数のエリート企業に過ぎず、大半の株主が外国資本であるため、利益は国外に流出しています。
また、多くの韓国人は40歳頃に大企業を辞めてフリーランスとなるケースが多く、消極的な選択としての独立が増えています。
この結果、収入の減少や不安定な生活環境が問題となっています。
日本企業も同様に、たとえばソニーの株主の大半が外国資本であるため、利益が国外に吸い取られる構造になっています。
大企業の利点とフリーランスとの違い
フリーランスの利点は、自分の成果がそのまま自分に返ってくることであり、努力のしがいがある点です。
しかし、大規模な事業を展開することや強い知名度を活かした宣伝活動は難しいという限界があります。
一方で、大企業には以下のようなメリットがあります。
- 大規模プロジェクトの実行:個人や中小企業ではできないスケールの仕事が可能。
- ブランド力の活用:知名度が高いため、宣伝広告費を抑えることができる。
これらの強みを活かすには、大企業が筋肉質な体質に変わり、KMO問題を解消することが急務です。
日本の大企業がこれからどうなるかについて、大きな分岐点に立っていると言えます。
GAFAのような規模で再び世界をリードするか、別のジャンルで新たな価値を見出して復活するのか、あるいはオワコン化して衰退し、潰れるか、買収されるかという未来が待っているでしょう。
僕自身は「日本の大企業はオワコン化する」と予想しています。
その理由を以下に説明します。
ジョブ型への移行は時間がかかりすぎる
ジョブ型雇用を推進しようとしても、浸透するまでに20年はかかると考えられます。
その主な理由は以下の通りです。
- ぶら下がり社員の存在
日本の解雇規制によって、能力のない社員を簡単に解雇することができません。その結果、社員が自然に辞めるのを待つしかなく、これには20年程度の時間が必要です。 - 社会不安への懸念
ぶら下がり社員を解雇すれば、失業者が増加し、社会不安が高まります。このため、政治家も解雇規制を緩和する意欲を持ちづらいのです。
年金制度と同様に、「問題を放置し、時間に任せる」という作戦に近い状況です。
しかし、大企業の体力がこの悠長な対応に耐えられるかは大いに疑問です。
優秀な若者の大企業離れ
日本の大企業では、KMO(権力を持った無能なオッサン)がのさばっており、出世するには社内政治を駆使しながら長い年月を費やす必要があります。
理不尽な環境の中で働くのに耐えられない優秀な若者たちは、以下の道を選びます。
- ICT業界やベンチャー企業に転職
新しい可能性を求め、変化の早い業界に飛び込む。 - 起業やフリーランス
自分の裁量で働き、成果をダイレクトに得られる環境を選ぶ。 - 外資系企業や専門職(医者など)
より実力主義が浸透した環境でキャリアを築く。
大企業に留まる若者の減少は、優秀な人材の流出を招き、企業全体の競争力をさらに低下させるでしょう。
政府の方向性と「新しい資本主義」
政府も大企業の限界を認識しており、「新しい資本主義」の概要として以下の方針を打ち出しています。
- 年功序列から職務給への移行。
- 転職や副業の促進。
要するに、定期昇給や終身雇用を前提とした雇用形態は維持できず、「不足分は自分で稼いでください」というスタンスです。
この流れに対応するには、個人としてのスキルやキャリア設計がますます重要になります。
参考書籍やリソースの紹介
今後の変化に備えたい方に役立つ書籍やリソースを紹介します。
(1) 書籍「2040年「仕事とキャリア」年表」
この本では、2040年までの雇用やキャリアの未来を予測しています。
特に「日本の雇用制度は崩壊した」という視点から、アメリカ型ジョブ型雇用への備えを説いています。
(2) ビジネスブログ「コンサルティング熊林」
ビジネス・社会情勢・時事ネタを取り上げたブログで、これからの不透明な時代を生き抜くためのヒントが満載です。
(3) 節約ブログ「総節約時代サロン」
円安や賃金の停滞が続く中、節約を意識して個人防衛を図るための情報が充実しています。
(4) 他の参考記事
- 「年功給から『職務給』移行、転職・副業促進も…『新しい資本主義』概要判明」
政府の動きを把握するのに役立ちます。
- 「コミュ症でもできる仕事ってある?」
コミュニケーションが苦手な人でも働きやすい仕事について解説。
フリーランス時代への期待と限界
フリーランスは、成果がすべて自分に返ってくるため努力しがいがあります。
一方で、以下のような課題もあります。
- 飽和状態の懸念
たとえば、YouTuberが100万人に増えた場合、全員が食べていけるわけではありません。同様に、フリーランスが増えすぎると市場のパイが縮小します。 - 個人の限界
大企業ほどの規模感や知名度を活かした仕事はできません。そのため、フリーランスはニッチな市場で独自の価値を提供する必要があります。
まとめ
日本の大企業はジョブ型への移行が遅く、優秀な若者の流出やKMO問題など、課題が山積しています。
その結果、GAFAのような世界的リーダーにはなれず、オワコン化する可能性が高いでしょう。
しかし、この状況に対応するために個人が備える方法はあります。
未来を見据えたキャリア設計、スキルの習得、情報収集が鍵となります。
節約や副業など、変化の時代を乗り越えるための取り組みも重要です。
大企業の未来を考えつつ、自分自身の道を模索するヒントとして、これらの情報を活用してみてください。
最後に僕の個人的な備忘録として、以下の記事を貼っておきます。
(自分専用の保存用)
ではこの辺で。(5517文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。