どうも、太陽です。(No93)
「劣化するオッサン社会の処方箋」という本からの引用・まとめになります。
ブログタイトルからは、ちょっと外れた内容となっています。
目次の1つ目の紹介した記事には、タイトルと関連したことが書いてありますが。。
立ち読みしたときは「そんなに良い本じゃないかなぁ」とスルーしていたのですが、図書館で借りて読んでみたら、良本でした。
著者の山口周氏はやはり、只者ではないという印象です。
もはや、著者買いしても安心なビジネス書作家の1人に入ったかもしれません。
同じく著者買いしても安心な作家は、橘玲氏ですね。
興味がある人は、続きをお読みください。
1 記事の紹介。
まず以下の記事を貼ります。
「凡人が、天才を殺すことがある理由。ーどう社会から「天才」を守るか?」というタイトルです。http://yuiga-k.hatenablog.com/entry/2018/02/23/113000
以下の記事も紹介しておきます。
「続編 天才を殺すのは、実は「秀才」ではないか?等への回答10選」というタイトルです。http://yuiga-k.hatenablog.com/entry/2018/02/27/220032
2 「劣化するオッサン社会の処方箋」からの引用・まとめ1
「劣化するオッサン社会の処方箋」という本から引用・まとめをします。
天才は超一流、才人は一流、凡人は三流となります。
凡人はありふれた人であり、数がもっとも多く、才人は凡人よりはるかに数が少なく、さらに天才は才人よりもはるかに少ないです。
圧倒的多数派の凡人に人選させたら、凡人を選びます。(才人や天才は理解不能だからです)
一方、才人か天才に人選させれば、ある程度は才人や天才を選出できるかもしれません。(天才は天才を知るということです)
1回、才人や天才がリーダーや権力者になると、そのまま才人や天才が選ばれ続ける循環が回ると思いがちですが、一定の割合でエラーが出て、凡人を選んでしまうこともありえます。
凡人が権力者になると、自分より上の才人や天才を恐れ、抹殺し、自分の言うことを聞く凡人を可愛がります。
また、二流の才人は「誰が本当の一流の天才なのか?」を知っていますが、三流の凡人が一流だと思っているのは実は二流の才人だったりするのです。
三流の凡人は二流の才人をヨイショして、「自分も頑張ればいつかああなれる」と信じますが、本当の一流の天才に関しては理解不能の人とみなします。
やはり一流の天才はかなり数が少なく、圧倒的多数派の三流の凡人が民主主義で選挙して投票すれば、良くて二流の才人しか選べないので、資本主義や民主主義が上手く機能しない場合があるのです。
また、組織(特に大企業)は劣化していきますが、その理由として、二流のリーダーが率い、三流のフォロワーが脇を固めてる一方で、一流と二流の人材は評価されず、日の当たらない場所に置かれるからです。
二流から三流に権力が移り、どんどん組織は劣化していきます。(先ほど述べたエラー出現です)
劣化の例として、間近15年間の株価変動の推移を見ると、中小・中堅企業に上場している東証二部の平均株価は67%と大きく上昇しているのに対し、東証一部上場企業の主要30社からなる「TOPIXCore30」のパフォーマンスはマイナス24%と大きく下落している点が挙げられます。
この20年のあいだ、大きくて古い会社が停滞しており、中小・中堅企業のなかにはしっかり成長している企業がたくさんあるというわけです。
3 「劣化するオッサン社会の処方箋」からの引用・まとめ2
社会で実権を握っている権力者に圧力をかけるとき、そのやり方には大きく「オピニオン」と「エグジット」の2つがあります。
オピニオンは、おかしいことはおかしいと指摘、意見することであり、エグジットというのは権力者の影響下から脱出することをいいます。
市場原理の中では普通に適用されている理論です。
商品を購入して不満があれば、クレームという形でオピニオンを出し、それでもあらためなければ買うのをやめる、取引を中止するという形でエグジットします。
株主なら、経営陣のやり方に文句があれば株主総会で意見を言い、それでもあらたまらなければ株式を売却することでエグジットできます。
ここで本書で登場する劣化したおじさん(納得できない理不尽な仕事をふる)には、まずオピニオンとエグジットという武器で立ち向かうべしとなります。
オピニオンとエグジットを行使しないということは権力者を甘やかし、適切なフィードバックを与えていないことになります。
さて、オピニオンとエグジットという武器を、活用できない理由は大きく2つあります。
1つ目が「美意識の欠如」です。
美意識がある人は、一線を超えた上司の振る舞いに対抗します。
2つ目がモビリティの低さです。
モビリティとは、仮にエグジットというレバーを引いて所属する組織を抜け出しても、今と同様の生活水準を維持できる能力のことです。
DaiGoで言えば、TV局に媚びへつらわなくても生きていける事例のことです。(Dラボやや多額の貯金など、余裕があり、選択肢があります)
金融資本(お金)も大事ですが、それだけでなく、オピニオンとエグジットを行使するには、人的資本(汎用性の高いスキルや知識)と社会資本(信用や評判など)を厚くすることが大事です。
どこに行っても生きていけるモビリティを高めるには、特に後者2つを高めることが必要でしょう。
副業の禁止は大企業の論理であり、社員の人的資本や社会資本を厚くすることを奪い、会社の奴隷にします。
4 劣化するオッサン社会の処方箋」からの引用・まとめ3
40代以上になってようやく出世するかが判明する日本企業より、早めに「向いてないと首にする外資系企業の方が優しい」と著者はいいます。
組織が大きくなればなるほど、役員比率は下がります。
A | 社員100人の会社で役員は5人。(5%) |
B | 社員1000人の会社で役員は10人。(1%) |
C | 社員1万人の会社で役員は20人。(0.2%) |
という標準的な役員比率を想定すればわかります。
日本企業で「40代後半になって、この会社で、これ以上昇進は望めません」と言われても、取れる選択肢はほぼないのです。
ここで「年長者が本当に偉いのか?」という視点から考えてみます。
権力格差指標(PDI)という指標があります。
ちなみに、「部下が上司を尊重しなくてはいけない」という度合いの指標「権力格差指標」(PDI=(Power Distance Index)では、日本のスコアはかなり高くなっています。
つまり、権力格差が大きい日本のような国では、不平等が当たり前で、権力者に媚びる傾向があり、中央集権化が進んでいるといえます。
イギリスのような権力格差の小さな国では、不平等は小さく、権力分散され、部下は上司が意思決定を行う前に相談されることを期待し、「特権やステータスシンボルがあまりない」ということになります。
日本企業では目標管理制度を取り入れていますが、「権力格差の小さいアメリカで開発された目標管理制度」であり、部下と上司が対等な立場で交渉できる国では有効ですが、「日本のような上下関係がはっきりした国では機能しない」と言われているようです。
権力格差指標は以下です。
フランス 68。日本 54。イタリア 50。アメリカ 39。カナダ 39。旧西ドイツ 35。イギリス 35。です。
中国、台湾、韓国といったアジアの国々や、コロンビアなどの南米諸国もPDIは高いです。
つまり、日本と似ているということです。
さらに、面白いことに、国別の競争力やイノベーションランキングでは権力格差指標が高くなればなるほど、それらのスコアが低くなる傾向にあるということです。
つまり、若手が上司を尊重しすぎる度合いが高ければ高いほど、組織の競争力は低下します。
イノベーションを生むのは若者中心であり、その実現のための補佐役がシニアの役割なのです。
その若者が上司に従順すぎると、イノベーションや国の競争力は落ちます。
権力に歯向かう国民こそ、イノベーションを起こしています。
また、若い人ほど、画期的なアイデアを生み出しやすいです。
イノベーションを起こすのは「ヨソ物、バカ物、若者」とも言われます。
若者やその分野に日の浅いヨソ者などに権力や発言権を渡せばいいのですが、そういう人ほど、大企業を避けがちであり、直接、資源動員の権力を握った人と接せられる小さな組織に行くか、行った方がいいかもしれません。
ちなみに、組織のポジションと、権力と人格には、統計的にあまり相関がないです。
つまり、「出世した人は、強欲で権力志向が強く、プライドを捨てて、上司にオベッカを使ったから出世したのだ」ということになります。
「出世した人を敬うべきだ」というなら、上記のような人を尊ぶべきとイコールです。
年長者がかっては重宝されていたのは、データベースであり、経験量が豊富だからでした。
しかし、社会変化が速くなった現代においては、若者の方が能力が勝ることも多くなります。
問題解決のアプローチには大きく、
1 | 「ランダム(直観によって回答を得る」 |
2 | 「ヒューリスティック(経験則によって回答を得る」 |
3 | 「オプティマル(論理によって回答を得る)」 |
の3つがあります。
これはそれぞれ、
1 | 直感や感を用いる「ランダム」は「アート」に、 |
2 | 手間をかけずにいい線を行く答えを求める「ヒューリスティック」は「クラフト」に、 |
3 | 分析と論理によって最適解を求めようという「オプティマル」は「サイエンス」 |
にそれぞれ該当します。
過去に類似した事例があるのであれば、「クラフト」は有効でしたが、不確実性が高い問いなら、クラフトの経験則は当てにならず、「アート」か「サイエンス」の出番になり、「その2つは年齢は関係ない」ということになります。
それどころか、「大胆な直感」や「緻密な分析・論理」は若い人の方が得意だということが分かっています。
将棋の藤井7段の活躍が物語っています。
また、知性と年齢については、「流動性知能」と「結晶性知能」の話が参考になるでしょう。
「流動性知能」とは、推論、思考、暗記、計算などの、いわゆる受験に用いられる知能のことであり、分析と論理に基づいて判断する類の知能(サイエンス)といえます。
一方、「結晶性知能」とは、知識や知恵、経験知、判断力など、経験とともに蓄積される知能であり、経験則や蓄積した知識に基づいて問題解決をする類の知能(クラフト)といえます。
ここで重要なのが、2つの知能ではピークに達する年齢が大きく異なり、「流動性知能」のピークは20歳前後にあり、加齢とともに大きく減衰していき、一方の「結晶性知能」は成人後も高まり続け、60歳前後でピークを迎えるという点です。
これがかつての「定常社会」において、60歳前後の長老が大きな発言権を持ち、尊敬される理由だったのです。
このような社会では新しい問題は「流動性知能」に優れる若者たちが向き合い、直感の通用しない複雑な問題については過去の経験知を蓄積した長老が向き合うという形で役割分担し、組織やコミュニティを維持していました。
ですが、現在の社会の変化は極めて早いので、経験則が知恵になるか不透明な時代になったのです。
ブラック・スワンのような「ごく稀にしか発生しない大きな問題」についての経験は長く生きてきた長老が独占していましたが、今はグーグルなどで簡単に調べられます。(年長者のデータベースとしての価値がなくなったのです)
ここで、年長者(劣化したおっさんたち)はどうやって生きていけばいいのか?の答えが本書に書かれている「サーバントリーダーシップ」です。詳しくは本書をお読みください。
5 劣化するオッサン社会の処方箋」からの引用・まとめ4
サーバントリーダシップを身につけ、さらに「劣化しない結晶性知能」を身につけることが大事です。
「劣化しない結晶性知能」とは教養だといいます。
また、経験の質について着目してみましょう。
成長にとって必要なのは経験の量ではなく、経験の質です。
30年同じ仕事を続けている人は「30年の経験がある」と言いがちですが、実は「1年の経験から学び、あとは同じことを29年繰り返した」とも言えるのです。
同じような仕事を同じような仲間と同じようなやり方でやり続けるのは、愚策です。
いろんな仕事をいろんな人たちと、いろんなやり方でやったという「経験の多様性」が良質な体験をもたらし、学習を駆動するといいます。
クリエイティブなシニアは挑戦し続けているのです。
バート・アイチンガーは、個人の能力開発がどのように発生しているのかを長年研究し、結論として「70:20:10」を提唱しました。
この公式によれば、個人の能力開発の70%は、実際の生活経験や職業上の経験、仕事上の課題と問題解決によって発生し、自分が直接に経験したことがあることが能力開発につながるため、これは一般的に「直接学習」と呼ばれます。
次の20%は、職場や学校などで、模範となる人物(ロールモデル)から直に受ける薫陶(対人的学習)や、観察と模倣から怒り、他人の経験を自分のものにしたり、他者の活動を観察したり、場合によっては真似ることで学習が起こるため、こちらは「間接学習」と呼ばれます。
そして残りの10%が、学校や研修などのフォーマルなトレーニングです。
結局、「職場で良い経験をする」ことが個人の成長にとって決定的に重要なのです。
しかし、今の大企業では良い経験が積めません。
理由は重要なポジションにいつまでも年長者が居座ってどかないからです。
2つ目の良い経験を積めない理由が、リーダーシップの停滞です。詳しくは本書で。P150~。
こうなると、経験や同僚の同質性(=ずっと変わらない)がオトナへの成長を阻み、これはそのまま新卒一括採用(=同期はずっと不変)、年功序列(=同僚はずっと不変)、終身雇用(=会社はずっと不変)という昭和日本型の採用・雇用慣習が大きな厄災となっていることがわかります。
経団連は典型例です。詳しくは本書で。
しかし、著者は権力は終焉し、権力の弱体化が進んでいるといいます。
米国企業のCEOの平均在任期間は10年から6年に短縮し、トップ交代が相対的に少ない日本企業でも強制的な辞任数は4倍に増加し、小規模軍事力が大規模軍事力に勝利する割合は12%から56%に急増し、チェスのグランドマスターは88人から1200人以上に増加しています。
権力の弱体化が進んだ理由として、情報の普遍化、つまりなんでもグーグルで調べられるなどが挙げられます。
なぜなら、権力の源泉は「情報の独占と支配」だからです。(知らせないことにより、統治し、支配してきたのです)
6 その他
本書ではクライバーンとポリーニを題材にして、教訓話も語られています。詳しくは本書を。
本書は新書なのに、内容が濃かったです。
著者の山口周氏はもはや、著者買いした方がいいビジネス書作家かもしれません。
山口周氏の他のお勧め本は以下です。
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」」
「外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」」
「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」
僕は上記の本は4冊とも読破済みです。
ではこの辺で。(6461文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
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