どうも、太陽です。(No121)
突然ですが、「イスラエルがすごい」という本から、引用・まとめをします。
イスラエルは「ユダヤ人の国」ですから、「イスラエルのすごい点から学ぶ=ユダヤ人から学ぶ」とイコールです。
まずは「イスラエルという国がどのように凄いのか?」そして「ユダヤ人の凄さとどういう点をユダヤ人やイスラエルから学べばいいのか?」を書いていきますね。
1 イスラエルの凄さ。
いきなりですが、イスラエルは「中東のシリコンバレー」と言われています。
(米国ほどの派手さはないですが。シリコンワディというあだ名がついています)
そして、2017年3月31日に米国の巨大IT企業インテル(世界最大の半導体メーカー)が、イスラエルの自動車関連ハイテク企業モービルアイを買収したのです。
買収金額は153億ドル(1兆6830億円)であり、外国企業がイスラエルで行った企業買収の中で最高額です。
「モービルアイのカメラとセンサーは自動運転車の目」と言われるほどであり、自動運転にはモービルアイの技術力は不可欠なのです。
インテルはこれから伸びそうなモービルアイを市場価値の約46%を上回る金額で買い、モービルアイはインテルの豊富な資金力を魅了に感じたのでした。
他にも、「ムービット(Moovit)」と呼ばれるアプリや、「グーグル・サジェスト」などイスラエル発の技術は多いのです。
次に、イスラエルは「ベンチャー大国」という事実があります。
イスラエルには5000社を超えるベンチャー企業がひしめいています。
2016年に誕生したベンチャー企業は「1380社(ギークタイム」というウェブサイトより)だ」と言われています。
日本では2016年に資金調達を行った未公開ベンチャー企業の数は979社です。
(ジャパン・ベンチャー・リサーチによると)
米国のベンチャー企業数は15万1698社です。
しかも、イスラエルは人口が900万人足らずです。
で、「国民100万人あたりのベンチャー企業数」では世界一と言われていますが、統計上比較が難しく、正確な数字はないようです。
イスラエルのベンチャー企業の戦場は、モービルアイに代表される自動運転テクノロジーや、車のナビゲーションに関するアプリケーション、ハッカーによるサイバー攻撃から企業や個人を守るためのサイバー・セキュリティ、モノのインターネット(Iot)、フィンテック(デジタル化された金融サービス)などです。
また、2014年、「各国に流れ込んだVC(ベンチャーキャピタル)のGDPに対する比率」をOECDは発表しています。
この統計によれば、イスラエルのベンチャー企業への投資額のGDPに対する比率は約0.38%であり、世界一です。
(その比率は日本の約10倍、ドイツの約17倍です)
さらに、イスラエルは人口約900万人ですから、「国民1人あたりのVC投資額は世界最大」なのです。
(米国すら大きく抜いています。人口比率的に高くなるのですね)
さて、ベンチャー企業は株式市場で上場(IPO=新規公開)や、大手企業に買収されたり、これらの企業と合併したりする「エグジット(出口)」を目指します。
モービルアイがインテルに買収されたのもエグジットです。
イスラエルのベンチャー企業のエグジットは2014年は143社です。
毎年、80~100社のベンチャー企業がエグジットに到っています。
2016年にエグジットを達成したベンチャー企業の買収額、株式時価総額などの合計は100億ドル(1兆1000億円)に達しました。
また、インテル、アップル、アマゾン、IBM、マイクロソフト、フェイスブック、グーグル、ゼネラル・エレクトリック、ペイパル、ソニーなど300社を超える外国企業が研究開発センターをイスラエルに置いています。
加えて、イスラエルのイノベーション力は「スイス、米国に次いで世界第3位」とWEFは評価しています。
(ドイツの5位や日本の8位を大きく上廻ります)
米国の電子株式取引市場ナスダック(NASDAQ)に上場しているイスラエル企業の数は97社であり、中国(159社)に次いで世界2位です。
(日本は12社、ドイツは10社です)
2 イスラエルの凄さ2 イノベーション大国。
イスラエルは周囲を敵に囲まれ、テロや紛争が激しい国です。
そんな過酷な状態下なので、軍事・諜報関連技術が発展しました。
イスラエル国防軍で電子諜報を担当するのは「8200部隊」です。
(ISNUと呼ばれることもあります)
8200部隊の主な任務は、周辺国やテロ組織の固定電話、携帯電話、衛星通信、電子メールなどによるコミュニケーションの盗聴、暗号によって秘話化された通信内容の解読、敵国からのイスラエルへのサイバー攻撃の防御です。
(組織的にハッキングも行っています)
8200部隊には約5000人の兵士が所属しており、予備役を除くイスラエル国防軍の兵力約17万6500人の約3%に相当します。
(イスラエルは8200部隊を重要視しているのです)
この8200部隊が実は、イスラエルのベンチャー企業の起業家を生みだすのです。
8200部隊出身者が創業したベンチャー企業は、約1000社にのぼるそうです。
現在、世界のサイバーセキュリティ市場のベンチャー投資額の約15%がイスラエルに流れ込んでいます。
2018年のサイバー犯罪による経済損害額の合計は、毎年1兆ドル(110兆円)に達しています。
(世界経済フォーラムによる発表)
Iot時代や自動運転時代にはますますサイバーセキュリティの重要性が増します。
(クラウドのニーズも高まり、クラウドへの防衛費もかさみそうです)
8200部隊があるおかげで、イスラエルがサイバー攻撃防御の分野で世界的なリーダーになれたのです。
8200部隊の詳しい内容については、本書をお読みください。
さて、イスラエルの2017年の軍事支出の対GDP比率は約4.7%であり、SIRPIが調査した149カ国の中で第7位であり、米国(3.29%)、ドイツ(1.19%)、日本(0.99%)を大きく上回っています。
軍事支出が多いと民間に流れて、イノベーション大国になれると思いませんでしたか?
ですが、オマーンやサウジアラビアなどでは防衛支出の対GDP比率はイスラエルよりも多いのに、これらの国々はイノベーション大国になっておらず、一概に言えないようです。
イスラエルがイノベーション大国になった理由は、「他にある」ということです。
3 ユダヤ人の智慧。
その答えが、「ユダヤ人の智慧だ」と思われます。
まず、「既成の考えにとらわれない、自由な発想」を重視し、8200部隊の18~20歳ぐらいの若者の兵士でも、難問に対し、「自分の頭で考え、知恵を絞る」という根本姿勢があります。
また、8200部隊の強さの秘密は、「従来の常識や伝統を超えた発想ができる若者を集めていること」だといいます。
日本では「年長者などに逆らうのは難しい」ですが、イスラエルでは上司や上官のやり方を堂々と批判するのです。
「出る杭は打たれる」ではなく、「出ない杭は出世しない」のです。
他人がやらないことをやる国民性なのです。
さらに失敗を恐れず、「失敗は良いことだ」と思っています。
ユダヤ教の神にまで反論します。
「権威を信用するな、あらゆることを疑え」という原則がユダヤ人には植え付けられているのです。
また、イスラエルをベンチャー大国にしている理由として、移民国家な点が挙げられます。
1948年にイスラエルが建国した時、人口は約81万人でしたが、70年経って約11倍に膨れ上がりました。
イスラエルに住むユダヤ人の90%は、移民もしくはその子孫や孫の世代です。
現在のイスラエル人の3人に1人は、外国から移住してきた人々なのです。
未知の環境でゼロから再出発した人たちですから、不屈のチャレンジ精神や「やればできる」という楽観的で前向きなメンタリティがあります。
また、1991年のソ連崩壊により、ソ連でユダヤ人差別がはびこっていた状況下で、多くのユダヤ人がソ連を脱出して、イスラエルに来ました。
1990年からの11年間に約100万人近いユダヤ人が「旧ソ連からイスラエルへ移り住んだ」といいます。
(イスラエル中央統計局による)
しかも、ソ連からの移民の大半が、科学者や数学者やエンジニアなど高学歴の市民でした。
旧ソ連出身者はイスラエルの人口の約14%を占めており、出身国別にみると「最も比率が高い」です。
さらに、VC(ベンチャーキャピタル)ブームに火をつけた「ヨズマ計画」も、イスラエルをベンチャー大国にしたきっかけですが、詳しくは本書を読んでください。
4 その他。
他にはドイツの大企業に加えて、ドイツの企業数の約99%を占める中規模企業(ミッテルシュタント)もイスラエルに注目しています。
ドイツは「ユダヤ人虐殺の歴史」がありましたが、今ではイスラエルと深い関係を築いています。
1952年のルクセンブルク合意から、65年間にドイツ政府がユダヤ人などナチスによる犯罪の被害者に支払った補償の総額は、755億7800万ユーロ(9兆8251億円)に達します。
(ドイツ連邦政府が2018年3月にまとめた資料による)
その支払いは、今でも続いています。
2017年の1年間だけでも、ドイツ政府は10億640万ユーロ(1308億円)の補償金を支払いました。
ユダヤ人の犠牲者は600万人という数字がよく使われていますが、ここの正確性よりも、ドイツはユダヤ人を迫害した点を重要視し、謝罪しているようです。
また、イスラエルは中国とも接近しています。
テルアビブのZAG・S&W法律事務所によると、2016年に中国企業がイスラエルに投資した額は、前年比で3倍に増えて、160億ドル(1兆7600億円)に達しました。
ちなみに、2016年の日本企業のイスラエルへの投資額は約222億円(2億ドル)であり、中国がイスラエルに投資した額の80分の1にすぎません。
イスラエルにとっては内需は、人口900万足らずなので小さく、中国の市場の大きさは魅力的なのです。
(中国にとってはイスラエルは「新しいテクノロジーを生みだす企業が多い」と見ています)
詳しくは本書をお読みください。
ではこの辺で。(4360文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
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