どうも、太陽です。(No182)
突然ですが、NFT(Non-Fungible-Token)を皆さんは知っていますか?
これは敢えて簡単に意訳すると、世界に一つだけのデジタル資産になります。
デジタル資産で有名なのはビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)です。
そして、NFTも暗号資産もブロックチェーンという技術によって、確立されています。
ネットワーク空間のデジタル上に「確かに存在する」という意味で、「NFTも暗号資産も価値がある」と思われています。
NFTの場合、デジタル上で唯一無二に存在していると証明できるので、版権・コンテンツ・IP(知的財産)ビジネスと相性がいいです。
大物巨匠のサイン入り絵画がコピー可能なデジタル上で、唯一無二と存在証明できるのですから、希少性という価値が生まれます。
しかし、僕はこれは「まやかしだ」と思っています。
本来ならデジタル上でコピーはいくらでも可能なのですが、ブロックチェーン技術によって1つしか存在しないと無理やり証明している、希少性ビジネスだと思うわけです。
昔から、投機・転売目的でこういうアートビジネスを手がける人はいましたし、NFTをそのような目的で利用するのなら、ありかもしれません。
ですが、本当に希少性に価値やブランドを感じているのだとしたら、「頭が弱い」と僕なら感じます。
コンプガチャで、そこまで価値がないゲームに課金する層と同じぐらいの頭の弱さです。
(コレクター欲求が刺激されるのでしょう)
ここからは、NFTは流行らないのだけど、ゲーム・漫画とは相性がいいという話へ展開していきます。
興味がある人は続きをお読みください。
1 NFTは流行らないが、ゲーム・漫画とは相性がいい。
いきなりですが、以下の記事では、NFTが流行らない理由を5つ挙げています。
NFTは流行らない?日本で流行らない5つの理由を徹底解説。
1 | 文化的にアートが浸透していない。 |
2 | ハッキングの危険性がある。 |
3 | ある程度のITリテラシーが必要。 |
4 | 価値が下がる可能性がある。 |
5 | 手数料が割高。 |
詳しくは記事を読んでください。
そもそも、NFT取引をするためには、イーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)が必要です。
次に、仮想通貨を購入するにはビットフライヤー(国内最大級の仮想通貨取引所であり、これがおすすめらしい)を利用する必要があります。
しかも、ハッキング対策として、1万円ぐらいのハードウェアウォレットを買わないといけないようです。
手数料(ガス代)が割高も大きな弱点です。
しかし、NFTの大きなメリットとして、二次流通でも報酬を得られる点は重要です。
現在、主に、イラスト、写真、動画、音楽がNFTとして取引されているようですが、僕はNFTはゲーム・漫画と相性がいいと感じています。
つまり、ゲーム・漫画をNFTとして流通させれば、二次流通でも金がクリエイターや出版社に入り、中古市場や読み放題サービスに吸い取られていた埋もれた金を回収できる話につながります。
NFTの二次流通の報酬を仮に10%に設定すれば、再販されればされるほど、クリエイターや出版社に金が入ります。
従来のゲーム・漫画は最初の販売時にしか利益にならなかったのですが、その構造が変わるのです。
この構造・システムが大々的に拡大すれば、中古市場が縮小します。
もちろん、紙の漫画にも価値はあるので残ります。
しかし、このシステムが現実化すれば、クリエイターが中古市場や漫画村や読み放題サービスで儲けそこなった利益を回収できます。
ですが、ここで思考実験をすると、かなり問題があることが分かります。
その説明に移りますね。
2 NFT漫画村やNFT雑誌村を作るのが難しい。
NFTの漫画の取引所を仮にNFT漫画村と名付け、NFTの雑誌の取引所を仮にNFT雑誌村と名付けるとします。
NFTは漫画とは相性がよく、雑誌とはそこまで相性が良くないのですが、それは後で説明します。
NFT漫画村を作るには、Kindleやその他の電子書籍サイトで販売していた漫画をかなりの部分で引き上げ、NFT漫画村に集結させる必要があります。
つまり、TV局が存亡の危機に陥ったと自覚し、集結して、TVerを作ったように、各出版社が団結しないといけないのです。
以下の記事にあるように、TV局の将来は若干暗いのです。
また、以下の記事にあるように、日本の強みは「総合商社のようなチームワーク力だ」と思われます。
NFT漫画村を仮に、各出版社ごとに作ったら、魅力半減です。
Kindleが魅力的なのも、「いろいろな電子書籍(漫画含む)の品揃え」と「Kindle端末の性能の良さ」と「Amazonが潰れないという安心感」があるからなのです。
ちなみに、NFTの漫画の場合、データに何かコードでも入れるのでしょうか?
NFT漫画を二次流通で、漫画家や出版社が儲かるためには、例えば限定1万部などを販売し、メルカリのようなデジタル中古市場も確保しなければなりません。
1作品だけであれば、当然、再販に待ち時間が加わりますから、1万部ぐらいは流通させます。
さらに、デジタル中古市場でグルグル流通させ、漫画家などに金がちびちび入るようにします。
しかし、この場合、再販ありきの発想です。
いわば図書館みたいなもので、保有に期限があります。
保有したい人、つまり何度も読み返したい人は再販しなければいいだけです。
ですが、「その割合がどれだけいるか?」が不明なので、初版の1万部から徐々に増版することになります。
漫画村の読み放題サービスのサブスクよりは、漫画家や出版社は儲けられるでしょう。
漫画の場合、1冊600円ぐらいになり、再販前提で、買う人も多いのであれば、消費者もグルグル回すことができます。
そして、損しない上に、クリエイターに金が入るのです。
今でも、メルカリで中古で本を買って、読み終わったら、すぐにメルカリでほとんど同じ値段で売っている人は多数います。
メルカリの場合、出品する際、梱包など手間がかかりますが、デジタルデータであればそんな手間はかかりません。
しかし、このNFT漫画村を構築するのにかなり資金がかかり、スマホだけでなく、Kindleのような端末も用意したいところです。
さらに、NFT漫画村を作るつもりなら、安易な撤退はできません。
(信用がなくなります)
加えて、NFT漫画村を作ったら、AmazonのKindleが対応する可能性があります。
基本的に出版社はプラットフォームを自由に選べるはずです。
ですから、NFT漫画村の利用者がイマイチ増えず、「Amazonが魅力的だ」と思ったら、乗り換える可能性は十分あります。
TVerのような結束力が必要な理由はそれです。
また、そもそも仮想通貨取引所登録、仮想通貨購入、ハッキング対策として1万円必要なのはハードルが高いです。
そこまでして、「電子コミック愛用者が乗り換えるか?」疑問です。
さらに、以下の記事によると、日本人は他の国々の人と比べて、「暗号資産を敬遠している」というデータがあります。
暗号資産の認知度は、日本が14.1%、NFTも6.4%、ステーブルコインも7.0%、セキュリティートークンも5.3%と世界最低水準となっています。
NFT、ステーブルコイン、セキュリティートークンについては「聞いたことがない」という人の割合がそれぞれ約8割でした。
聞いたことがなくても、関心があればOKだと思います。
ですが、残念ながら、日本の関心度は暗号資産11.8%、NFT6.7%、ステーブルコイン4.5%、セキュリティートークン4.3%とこれも世界最低水準です。
投資経験者の割合は、暗号資産9.3%、NFT3.9%、ステーブルコイン4.5%、セキュリティートークン3.6%とこれも世界最低水準です。
また、暗号資産については、富裕層ほど認知度が高い、大学卒、大学院卒といった高学歴の方が認知度が高い、男性の方が女性よりも認知度が高いという傾向があります。
このような状況下では、NFT漫画村を一般大衆に向けて普及させるのはかなり厳しいことが容易にわかりますよね?
また、すでに、紙の漫画本で大手出版社は膨大な利益を得ています。
ところで、以下の記事によると、 紙の本と電子書籍を合わせた漫画(単行本と漫画誌)の2022年の推定販売金額は、6770億円と3年連続で過去最高だったそうです。
紙の漫画は単行本(コミックス)と雑誌を合わせて前年比13.4%減の2291億円、電子は8.9%増の4479億円とのこと。
電子コミック市場のほうが大きいのは初めて知りました。
さらに言うと、AmazonのKindleストアがNFT対応すれば、出版社らは「サイト構築費用を出さないで済むよね?」って思う人もいるかもしれませんが、Amazonは脅威が迫ってこない限り、作る動機がありません。
また、以下の記事によると、電子コミックに一番課金するのは50代とのこと。
NFTはあくまでクリエイターの利益増大のためです。
で、Amazonのようなプラットフォームには利益につながらず、メリットがないからです。
ですから、出版社が連合を組み、NFT漫画村を作って、ある程度の脅威になったとき、初めてAmazonは動きます。
いわば、今、話題のChatGPTの脅威に対して、Googleが後手で動いたような展開です。
と書いていましたが、Amazonは先手を打ってNFTに着手するようです。
また、NFT漫画村がどこまでユーザーを増やせるかは本当に未知数です。
メルカリで中古本を買って読み終わったら、即座に販売するような層がターゲットユーザーです。
そのうえ、漫画村のような違法サイトを完全撲滅した上で、NFT漫画村を作らないと意味がありません。
漫画の数も膨大ですし、管理コストもかなりかかります。
だからこそ、出版社が団結し、効率化し、コストを削減し、勝負しないといけません。
NFT漫画村が一大勢力になったら、広告ビジネスもありでしょう。
現実化したら、漫画の中古市場がかなり縮小する動きとなります。
ユーザーも、保有はできませんが、ほぼ金がかからずに、漫画を読めます。
(買ってくれる人が相当にいる前提。グルグル回る)
そして、クリエイターに金が入るのですから、クリエイター&ユーザーともにWin-Winです。
このNFT漫画村を団結して作る出版社はいるのでしょうか?
また、NFT漫画村が果たして、どこまでのユーザーを獲得できるのでしょうか?
と書いていたら、ハヤカワ新書がNFTを活用し、電子書籍の2次流通を可能にするとのこと。
新書より、漫画の方が中古市場も規模が大きいですし、ハヤカワ新書だけの試みとなると、どうですかね?
ここで、NFT雑誌村の話題にも移ります。
雑誌村は実はすでに存在しており、例えばDマガジンが有名です。
雑誌の読み放題のサブスクサービスです。
このDマガジンを、出版社が団結し、NFT雑誌村に変更します。
しかし、NFT雑誌村には欠点があります。
それは、漫画のように強いニーズがないことです。
雑誌は気晴らし程度に読む読者が多く、そこまで読みたいものではないのです。
ですから、中古市場が拡大しません。
メルカリでも、雑誌の中古市場はそこまで発達していなく、ユーザーも少ないです。
つまり、二次流通で回す循環にならないのです。
雑誌は年々、縮小傾向ですし、NFTへの転換の希望もなく、絶望的です。
同じく、新聞もNFTと相性が良くないでしょう。
新聞が中古市場で出回っている姿を見たことがありません。
そして、ゲームの中古品はかなり人気があり、NFTと相性がいいはずです。
ただし、ゲームの場合、クリアするまでかなり時間がかかります。
で、それを再販するとしても、人気ソフトでない限り、必ず再販で売れるとは保証されません。
また、ゲームの場合、ダウンロード形式でそこそこの価格設定にできるため、わざわざ中古市場で循環させ、ほそぼそと利益を得る動機が弱くなります。
以下の記事にあるように、物理メディアはニッチな存在になっています。
ただし、ゲームの場合、武器などのアイテムデータをNFT化して、価値を高める方法もあるようです。
ドラクエやファイナルファンタジーで有名なスクウェア・エニックスがNFTに参入していますね。
(まぁゲームでも、大規模に成功するか?は不明です)
NFTといっても、ゲーム、漫画、雑誌、新聞でそれぞれ媒体が違うので、一緒くたに考えない方がいいのです。
結局、いろいろな媒体がありましたが、漫画とNFTは相性がいいと分かりました。
もちろん、たくさんの乗り越えるべき壁はありますし、リスクは残ります。
また、以下の記事にあるように、日銀がデジタル円の実証実験を行うそうです。
「仮想通貨とどう違うのか?」気になります。
ゲームチェンジャー(イノベーション)となる可能性があります。
最後に、KindleUnlimitedは素人が作った本でも面白い本が多いです。
例えば、44歳とは思えない外見の若さの女性である深田萌絵さんの以下の本は面白かったです。
(今では有名著者ですけどね)
KindleUnlimitedは月額980円です。
今回の記事のような企画・構想・発想力を身につけたい方は、以下の記事を参考にしてください。
また、このブログを読めば、企画や政策などの発想のヒントが得られ、コツが掴めるかもしれません。
少なくとも、僕自身は経営本の多読から、相当な着想のヒントを得ました。
ところで、以下の記事にあるように、DXを推進する上で、5つの人材類型は参考になります。
5つの人材類型とは以下です。
ビジネス系の「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」、テクノロジー系の「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」です。
DX人材で一番求められているのはビジネスアーキテクトであり、僕の今回の記事のようなデジタルに絡めて方向性・構想をできる人材が求められている可能性があります。
ではこの辺で。(4747文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
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